「いつでもいい」は永遠に決まらない?|締切効果と営業の正しい期限設定【営業交渉術137の原理 #087】

「いつでもお申し込みいただけます」

営業担当者は親切のつもりで伝えます。

顧客にプレッシャーをかけたくない。急がせたくない。いつでもいいですよ、と伝える。

すると顧客は、「では、また社内で検討します」と答える。

そして1週間。2週間。1か月。話が進まない。

商品が悪いわけではありません。顧客に関心がないわけでもありません。

ただ、決める期限がないのです。

ここで関係するのが、締切効果です。

締切効果とは何か

締切効果とは、期限が設定されることで、行動の優先順位や意思決定が変わる現象です。

人には毎日、急ぎの仕事、会議、メール、トラブル、上司からの依頼があります。

その中で、「いつでもいい案件」は後回しになります。

重要であっても、期限がなければ目の前の急ぎの仕事に負けやすいのです。

「検討します」が続く理由

顧客から、「検討します」と言われた。

営業担当者は、「検討してくれている」と思います。

しかし実際には、検討する日時、誰が検討するか、いつ結論を出すかが決まっていないことがあります。

それでは、検討という仕事自体が予定に入りません。

良い締切と悪い締切

締切効果を知ると、「では今日までです」と期限を作りたくなるかもしれません。

しかし、根拠のない期限を作ってはいけません。

「本日限定です」「今日決めないと損です」といった虚偽の締切は、信頼を損ないます。

良い締切には、実際の理由があります。

  • 導入希望日
  • 生産スケジュール
  • 研修実施日
  • 予算年度
  • キャンペーン期間
  • 在庫
  • 契約更新日

導入日から逆算する

例えば顧客が、「4月から新システムを使いたい」と言っているとします。

ならば、導入準備に4週間、テストに2週間、社員研修に1週間、契約手続きに1週間必要なら、「4月稼働をご希望の場合、2月末までにご判断いただく必要があります」と説明できます。

これは営業都合の締切ではありません。

顧客の目的から逆算した締切です。

次回アクションにも期限を付ける

締切は契約だけに使うものではありません。

「またご連絡します」ではなく、「来週水曜日までに社内でご確認いただき、木曜日に15分だけお時間いただけますか?」とする。

すると、次の行動が具体化します。

  • 誰が
  • 何を
  • いつまでに
  • その後どうする

まで決める。これだけでも案件停滞を減らせます。

「急かす」と「予定を決める」は違う

営業担当者の中には、期限を設定すると、「顧客を急かしているようで嫌だ」と感じる人もいます。

しかし、合理的な締切を一緒に決めることは、急かすこととは違います。

顧客がいつまでに何をすればいいのか。営業側がいつまでに何を準備するのか。双方の予定を明確にする。

これはプロジェクト管理に近い行為です。

期限がない案件は優先順位が落ちる

顧客企業でも、複数の案件が同時に動いています。

その中で、締切が明確な案件は前に進みます。

締切がない案件は、「あとで」になります。

そして、「あとで」が積み重なって、案件そのものが消えてしまうことがあります。

商談の最後に確認する3つ

1.次に何をするか

資料確認、社内相談、見積修正など。

2.誰がするか

顧客担当者、上司、購買、営業側など。

3.いつまでにするか

具体的な日付。

これだけで、「検討します」で終わる商談が、次の行動につながる商談になります。

本当の締切だけを使う

希少性と同じように、締切も嘘をついてはいけません。

「今日まで」と言ったのに、翌日も同じ条件。これを繰り返せば、次から顧客は期限を信用しなくなります。

締切は、本当に存在する期限だけを明確に伝えるのが基本です。

今日の実戦ポイント

「検討します」で終わらせるな。次の行動と日付を決めろ。

顧客を急かす必要はありません。

でも、いつまでに何をするのかが決まっていなければ、案件は自然に後回しになります。

商談の最後に、次の一歩と期限を決める。

それだけで、営業案件の進み方は大きく変わります。


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